「いぃやぁだぁ!!」 とある一室から耳に響く声が突如として聞こえてきた そのあとにすかさず咎めるような声と、どたばたと走る音、「カガリ様!!」とたしなめるような叫び声まで聞こえてくる あぁ、また始まった アスランは自室で頬杖をつきながら、ぼんやりと彼女らの動きを想像するのだった
誕生日プレゼント 〜アスランの悩み〜
「で?結局また根負けしたってわけか。」 「・・・。」 横目でチラリとカガリを見やると、彼女はムッスリと相当不機嫌そうだ カガリは式典やらパーティーやらでドレスを着ることをひどく嫌がる 彼女は「似合わないから」というが、アスランをはじめ周りの人々はそうは思っていない ただ、カガリのざっくばらんな性格からしてギャップがあることは確かだが… アスランは短くため息をつくと、長いドレスで動きにくそうなカガリに手を差し伸べた 一瞬その手を凝視して、戸惑ったような顔を見せたが、一人で歩くにはやはりきついらしくおずおずとアスランの手の上に自分の手を重ねてくる そのぎこちなさが、妙に愛おしく思えてアスランは小さく微笑んだ カガリはアスランに預けている手とは反対側の手でドレスの裾を少しあげ、わずかながらも歩きやすさを求めていた カガリの短い髪の毛をマーナは一生懸命アレンジし、花の髪飾りをつけた ドレスは華々しく、カガリらしい橙色のものを起用。派手なデザインでもなく、シンプルすぎでもない。 カガリの好みを熟知しているマーナだからこそ選ぶことの出来たドレスだ。 「なんだって自分の家で催されるパーティーでドレスを着なきゃならないんだよ…」 「自分の家だとかそういうのは関係ないだろ。カガリとキラの為にセッティングされたパーティなんだから。」 ブツブツと文句をたれるカガリを会場までなだめるのがアスランの仕事のようだ マーナに仕立ててもらい、自室を出たときからカガリの小言は絶えない しかし、それももう少しで途切れるだろう アスハ邸にすでに到着しているという彼女の双子の弟と、ピンクの歌姫がカガリの心の靄を一気にかっさらっていってくれるだろうから… ******************* 「っキラっ!!ラクスっっ!!」 案の定、アスランの予想は的中した それまで浮かない顔をしながらアスランの手をとっていた彼女の白い手は、一気に違う男の元へと飛んでいく まぁ、男といっても気の知れたキラだが 「ひっさしぶりだなぁ、2人ともっ。元気にしてたか!?」 「うん。カガリも元気そうでよかった。」 「お久しぶりです、カガリさん。」 キラは首元に抱きついてきたカガリを優しく引き離しながら微笑んだ ラクスもまた、耳に温かく響くような穏やかな声で挨拶をする 本来ならば、オーブ首長のメンツが揃うはずの国家元首の誕生日だが、カガリが丁重に断り身内だけのパーティとなった しかし、断るのも至難の業だったのだ それでも、こんな情勢の中、浮かれたパーティなどする暇があるのならもっと国の為に働くべきだと必死に説き、カガリはやっと首長達から逃れられた が、案の定アスハ家では当たり前のようにカガリの誕生パーティの準備が進められていたのだ 閣議から帰ってきたカガリが、一瞬家に入るのを戸惑うほどにそれはそれはもう豪勢な飾りが豪邸をさらに飾り立てていたのだから… 「あらあら皆さん、そんなところに立ってお話されないで、お掛けになったらどうです?ほら、カガリ様とキラ様は前のお席へ。」 「っえ、僕も……ですか?」 「えぇ、そうですよ。」 マーナはさも当然といわんばかりにカガリとキラの背中を軽く押す キラはカガリと一緒に会場の前の方に用意された椅子に誘導された 国家元首であるカガリと同等の位置に座るのは気が引けて、とりあえずカガリにその旨を伝えるが「いいじゃないか」とあっさり笑って返されるザマだった 何を隠そう、キラとラクスをアスハ邸に呼びつけたのはカガリだった カガリとキラは双子で当然誕生日も同じだ 自分が祝われるのなら、キラも一緒に!とマーナに頼み込み、カガリはこのやたら煌びやかなパーティの主役をもう一人増やして気を楽にしようとしたのだ 「カガリさん、元気そうでよかったですわ。」 「え…?」 残されたラクスは、傍で呆然といきさつを見守っていたアスランに微笑んだ 白いレース状のクロスがかかったテーブルの前で、ラクスは「座りません?」と小首をかしげた 誘導されるようにアスランは椅子に腰掛け、再びラクスに視線を向ける 「ずっと心配していましたの。オーブの代表になられてからカガリさんは多忙でしたでしょう?メディアが取り上げるのはほんの一部。それでもカガリさんがどれほどオーブを愛して復興のために尽くしているのか胸を突いて感じましたもの。カガリさんはまだ18ですし、今の情勢は相当の重荷でしょう。」 「……えぇ。」 カガリの傍でその様子をずっと見てきたアスランは、短い言葉をかみ締めながらつぶやく 「それでも…カガリさんがここまで頑張っているのはアスランのおかげですわね。」 「っえ!?」 突然自分に話を振られて、跳ねるようにラクスを見た そんなアスランの反応に、ラクスは思わず笑みをこぼす 「どんなに虚勢を張っていても、どこかで気持ちを休める場所がなければ心が病んでしまいますわ。緊張の糸を切ったときに、ほんのわずかでも暖かい場所を求めてしまうものです。だからカガリさんはどんなキャリアのあるボディーガードよりアスランを選んでずっと傍においているのでしょう?」 「ぁ……えぇっと……」 どうなんでしょう?とアスランは素直に困惑の顔を見せた そうであって欲しいとは思う カガリの仕事は国民が思う以上に多忙で、重要で、慎重を要するものだ 彼女の肩には国の行く末がかかっているのだ 張り詰めた緊張は、小さな身体を大いに蝕んでいるだろう そんなカガリの姿を間近でみているアスランは、ただひたすら彼女を傍で見守ることしかできない それでも、カガリがちょっとした時間に安らげる空間を作ってあげられるのなら、アスランもだいぶ救われるというものだ 「支えてあげてくださいね。…大切、なのでしょう?」 「っ……。えぇ。」 ブルーの瞳は、アスランの瞳を捕らえて離さない 透き通ったその瞳に吸い込まれるような感覚を覚えながらアスランは、しっかりと答えた そして、ゆっくりとその視線を会場の前に困惑した面持ちで腰掛けている金髪の少女へと向ける 「っっはぁ……」 「どうしたの、カガリ。そんな大きなため息ついて。」 まるでこのパーティを憂鬱とも感じていない無神経な言葉に、カガリはキラをジトリと睨みつけた 「どうしたの、じゃないっ。こんな私ごときの誕生日に身内全員集めてパーティなんてしなくていいだろうっ!?今はこんなところで浮かれている場合じゃないのはわかってるはずなのにっ」 プンスカ怒ると、きれいにメイクされたカガリの顔が台無しだ、と素直にキラは思った 普段は少年のように振舞っているために気付かないが、素材はいいものを持っているのだ ようは、それも使い方次第だ ドレスを着て、メイクをして、髪を結えば、あっという間に「きれいなお嬢様」なのだから 「みんな承知の上だよ。それでもカガリの誕生日を祝うことで張り詰めた緊張をほぐすクッションを置いて、また明日から頑張れる。そう思えばいいんじゃない?」 「私は利用されてるだけなのか…。」 「あ、いや、そういうわけじゃなくてね…。」 「っまぁいいさっ。身内だけのパーティだし、変に気兼ねしなくてもいいからな。」 立ち直りが早いのか、カガリはそう言い切るとさっさと食事に手をつけ始めた それを横目で見ながらキラは改めて会場内を見渡す 「っっ。」 ピンクのふわふわ髪の彼女の瞳と合致し、思わず目をしばたかせた ラクスはニコッと微笑むと、すっと静かに立ち上がり、隣に座っているアスランに何かを告げる アスランの視線がすぐにキラへと向けられ、まるで何かを納得したように、ラクスへ向き直り頷いてみせた どうやらラクスはキラの元へくるようだ いつもより更にフワフワとした彼女らしい服装が、キラの目を引く 慎ましやかにキラへと近づいてくるラクスは、まるで天から舞い降りてきたエンジェルのよう ピンクの髪が柔らかく揺れる 「キラ…、これを。」 差し出されたのは約20センチほどの太い棒だった 当然、それだけでは何なのかがさっぱりであるキラは、小さく首をかしげる そんな反応を予測していたように、くすくすと笑うラクスは、「こう使うのですよ」と手振りをして見せた ラクスの動作を真似て、キラは棒を持っている右手を上下にブンッと振る ビヨォォォ〜ン 「っっワッっ、なにっこれっっ」 「な、な、なんだよそれっっ」 キラだけでなく、隣にいたカガリまでもが度肝を抜かれたように驚きの声をあげた それを楽しそうに見守るラクスは、うふふとさらに楽しそうに微笑む 「キラへのお誕生日プレゼントですわ。気に入っていただけました?」 「……えっと、これは…うん、伸びる棒、なんだね?」 「そのまんまだぞ、キラ…。」 未だに半放心状態のキラに、すかさずカガリのツッコミが入る 「えぇ、でもただ伸ばすだけのおもちゃではありませんわ。キラの運動不足解消にピッタリで手軽なお道具ですの。」 「あぁ、そうか!!お前ずっと孤児院にこもりっきりみたいだもんな!」 妙に納得するカガリをよそに、キラはビヨンビヨンと動くその棒を軽く振る 確かに腕に振動が伝わり、室内でもいい運動になりそうな感触だった しばらく棒を振っていたキラは、その棒の先端をポンポンと叩くことにより元の大きさに戻ることを発見し、興味深そうにそれを見つめる 仕組みが気になるのだろう 「ありがとう、ラクス。」 とりあえず、仕組みを調べるのはゆっくり孤児院の寝室に戻ってからと考え、素直にお礼の言葉を告げた キラへの心遣いがたっぷりとこもったプレゼントに、キラも満足な様子 だが、隣で一部始終を見ていたカガリ、さらに、遠目で三人の様子を見ていたアスランは、ラクスの奇怪なプレゼントにあっけに取られるだけであった しかし、当の本人達が嬉しそうに微笑んでいる様子を見ると何も言えないのが実情である ******************* パーティは順調に進み、カガリの苦手とする挨拶も短く終わった あとは、このパーティを主催したマーナや執事達が終わりを告げるアナウンスをするまで、各自自由に食事や談話を楽しむだけだ 「カガリ様」 「?」 久しぶりに会ったキラやラクスと話を弾ませる中、マーナの声が会話を中断させた カガリは首をめぐらせ、後ろに控えたマーナを見上げる 「カガリ様のお誕生日の御祝いにとプレゼントが何点か届いておりましたので、前のお席の脇にまとめて運ばせておきました。」 「そっか。」 チラリとカガリの視線が、さっきまで自分が座っていた前方のテーブルへと向けられた 確かに、プレゼント仕様の箱がいくつも固まって置いてある 「せっかくだから、開けておいでよ。」 「えぇ!?今?」 あからさまに乗り気のしない顔でカガリはキラ達を見やる 今まで和気藹々と話をして、普通の「女の子」に戻っていたカガリは一気に意気消沈した カガリにしてみれば社交辞令の誕生日プレゼントは眼中にない ただ気の知れた友人達と他愛ない話をすることが、今一番カガリにとって心安らげる重要なものなのだ 「わたくしも一緒に見たいですわ。」 「え?」 「カガリさんへのプレゼント。わたくしにも見せて頂けません?」 「…別にいいけど。」 このときアスランははっきりキラとラクスの静かなアイコンタクトを見た ただ2人の目が偶然合っただけ、かもしれないが、確かにアスランは2人の「目の会話」を見たのだ 気乗りのしていないカガリを半ば無理やりのようにプレゼントの元へと行かせているようなラクス きっといつものラクスなら、他人の誕生日プレゼントを見たがるなどということはしない カガリと一緒にプレゼントの元へと歩いて行く後姿を見ながら、アスランはひたすら思考に没頭していた 「ところで、アスラン?」 「っぇ、あ……、なんだ?」 ふと声をかけられ、アスランの視線は慌ててキラへと向けられた 透き通るパープルの瞳がアスランを優しく見つめていた 「カガリにプレゼント、何をあげたの?」 「っえ!?」 途端に、アスランの心臓は硬直を始めた 「え〜」だの「あ〜」だの、曖昧な言葉ばかりがアスランの口から漏れてゆく 視界に入るキラの視線が、アスランを突き刺した 「え…っと、……だな。」 「まさか、あげないつもりじゃないよね?」 「そんなっ!!……ことは、ない……けど。」 「なに?その曖昧な言葉。」 尻すぼみなアスランのいいわけに、キラは呆れたように目を伏せた 「僕が気付いてないとでも思ってる?」 それでもアスランに気を使うように、心配そうな目をしてキラは再び彼を見た このアスハ邸に来て、カガリとアスランの様子を見る限り2人の間に「プレゼント」の存在があったとは到底思えなかった アスランは不自然にカガリから目を逸らしていたし、カガリもそれを気にしつつも何かを察しているようにキラやラクスに話を振っていた 「君がプレゼントを買わなかった理由なんてすぐわかるよ。」 「ちょっと待て。"買わなかった"んじゃないぞっ」 「っもうっ、わかってるよそれくらい。買えなかったんでしょ。」 「っっ……あぁ……。」 あくまで小声での会話だった それでもキラの呆れ具合は度を増すばかりで、それに比例してアスランの表情は悲愴になっていく 「コーディネイターの髪が薄くならないなんて偏見だ。」 「……うん。そうだね、アスランを見てたら理解できるよ。」 静かに吐き捨てるようにアスランが言うと、気持ちを察するようにキラは視線を斜め下へと逸らした 「いくらマイナス因子を取り除いたコーディネイターだからって精神面からくる脱毛は防げないんだ。」 「カガリだって気付いてるから気を使ってるんじゃないの?」 「……それがまた辛い。」 煌々と光るシャンデリアの下で、2人の少年達にはまるで黒い影がかかっているように暗かった 「それ……、髪のは高いんでしょ。」 「あぁ。俺の今の給料じゃかなり苦しいんだ。」 「どれくらい?」 「特殊な粘着性のあるフィルムが地肌に馴染むようになってるから自然な髪に見えるんだが、これがだいたい3週間もすればはがれてくる。オーダーメイドで一回4万だから、一ヶ月で絶対一度は取替え不必要があって4万以上は費やされるだろ。さらに俺は将来のことも考えて育毛計画も始めてるんだ。短時間勝負ならその……か、かつらの手もあるんだが、俺はまだ20にもなってないからな。だから地道に増やしていく方が賢明じゃないかと助言されて、地毛植毛という技術を施してある。これがちょっと値が張るから……」 「あ……、いやもう説明はいいよ。苦労してるのは十分わかったから。」 あまりに切ない親友の現状をありありと説明されると、さすがに胸が痛んでそれ以上は聞けなかった 「でもやっぱり誕生日に何もプレゼントがないっていうのは、カガリだって幻滅するだろ…。」 「……。それはどうだろう?」 「?」 考え込むようにキラは静かに言った 「"モノ"じゃなくてもプレゼントって形をとれるものはあるんじゃない?カガリはアスランからもらえるなら何でも喜ぶと思うし、寧ろ形のない方がカガリにとっては嬉しいのかもしれないよ?」 「?どういう意味だ?」 「う〜ん、とにかくカガリとちゃんと話すべきだよアスラン。」 買いたかったプレゼントは手元にない 空虚な手元を見つめた後、アスランはゆっくりと顔をあげ、ラクスと2人でプレゼントを開いているカガリに視線をやった 《皆様、お楽しみのところ失礼致します……》 突然会場内は会話が途切れ、少ししゃがれた声のアナウンスが響き渡った 《本日はこれにてパーティを終了したいと思います。ご多忙の中お集まり頂き、有難く存じます。………》 アナウンスがかかる、イコール来客であるキラとラクスは帰る時間となったわけで、カガリは惜しむように傍にいるラクスの手を握った 「…カガリさん…?」 今しがた、ひまわりのような笑顔だったカガリの顔が急にしおれてしまい、ラクスは彼女の顔を覗き込む まるで、幼い子供が痛いのをぐっと堪えているような、そんな顔がそこにあった 何がカガリにそんな顔をさせているのか ラクスはそれを思うと胸が苦しくなる 「わかってるんだ、本当は。」 「え?」 「私の存在がオーブにとってどれほど小さなものなのか。私はまだ父の存在から抜けられないでいる。今の私は父の幻影なんだ。オーブが求めているのは父であって、私じゃない。私は父の代わりであって、父ではないから……。」 「カガリさん…。」 わかってはいても、痛む胸は苦しすぎる 不甲斐ない自分に何度嫌気がさしただろう その度に、傍にいて、カガリを優しく包んでくれた存在があったことを知っている そして、今目の前にいる優しい彼女の存在もカガリの心を幾度も支えてくれていた どんなに強がってても、自分が本当は弱いのだと知っている だから、温かく包んでくれて、本当の自分を受け止めてくれる人とずっと一緒にいたいと思ってしまう 行かないで、と強く願う 今日までずっとオーブの為に駆け回ってきたカガリ しかし、今日このパーティで一人の少女に戻った途端、彼女の心は急に弱ってしまった 甘えだ、と自分を必死で叱咤する それでもぷつんと切れた緊張の糸はカガリを難なく暗闇へと落としてゆく 「そんなの……関係ないだろ?」 「っっ!?」 いつの間にかカガリとラクスを見守って会話を聞いていたアスランがそっとカガリの顔にかかる横髪をすいた 「ア、アスランっっ」 「カガリはカガリのやり方で、オーブの理念を守ろうとしてきたじゃないか。それはウズミ様と同じやり方なわけじゃないし、大人たちのエゴをも跳ね除けて、カガリの力で守ってるだろう?」 俺はちゃんと知ってるよ カガリの不安が溢れた瞳に、アスランが優しく微笑みかける 今日初めてアスランとカガリはゆっくりお互いを見た ややあって、カガリはぐっと拳を握り締める 「うん……ありがとう、アスラン。なんか元気でた。」 カガリの笑顔が目の前の三人の笑顔を引き出す が、アスランはすぐに顔色を曇らせた 「それで……、プレゼントのことなんだが…。」 アスランが切り出した瞬間、カガリは急に緊張した顔を見せる それと同時に、アスランをひどく気遣うような憂える瞳が揺れる 「……ごめん、諸事情でちょっと……渡せなくて……」 「っあぁ……うん。いいさ、そんなわざわざ私の誕生日ごときに大事な財産を削るなんてことしなくていいって。」 カガリはほっとして、できる限りアスランの傷つかないような言葉を選んだ 「でも…、何か形が残るものでなくてもカガリにしてあげたいと思って…ずっと……考えてたんだ。」 「っえ?」 思いもよらない言葉に、カガリは目を丸くしてアスランを見つめる 「俺……今はこんなだけど……、一年後のカガリの誕生日にはきっとふさふさの髪でカガリの隣にいることを約束するよ。」 「っっぁ……アスラン……っ」 瞳に涙を浮かべるカガリは、感極まってアスランの首に抱きついた それを優しく受け止めて、アスランはそっと目を閉じる 彼女の為に毎日怠らず、きつい収入にもめげず、必死で育毛計画を実行しようと心に決める こんなにも彼に髪が生えてくれることを喜んでくれるカガリがいるから……… そんな2人の姿を、キラとラクスは寄り添いながら温かく見守っていた しかし、アスランもカガリも、一年後に自分達が今よりももっと緊迫した情勢の中に身を投じていることを知る由もなかった よって、アスランの育毛計画は、精神的要因により断念せざるを得ない状況になるのだった……… fin. 〔戯言〕 え?これがカガリのバースディ小説かって? その質問にもちろんお答えいたします。誰がなんと言おうとYESとお答えしますよ。笑 もう一つオマケの質問にもお答えします。 これはシリアス?→→→→→→→→→はい、もちろんです。 え、だってアスランの髪が薄くなってるなんて一大事はシリアスでしょうっ!?でしょう!? そこの笑った読者のお方!!アスランは真剣に悩んでいらっしゃるのですよ。 真剣に、「育毛計画」を応援してあげてください。 彼はボディーガードとしては腕がたちますが、経歴はまだまだ浅い身ですので、お給料は安いんです。 そんな中、自分のお毛々の悩みがあって、本当に大変なんですよ? ってか、カガリのバースディ小説にわざわざその話を持ってくる私の神経がどうかしてますね。 す、すみません。いつの間にかシリアスに飽きて途中でグレてみた結果です。 途中で壊れたな、と自覚したのはラクスがキラに「伸びる棒」?を渡したときです。 あぁ、私これ以上真剣に描く自信ない……と思いました。 でも、最初が結構シリアスで始まっていたので、あくまで真剣に会話を進めてみました。 だって、カガリ最後は感動して抱きついたでしょう?笑。あれがシリアスの証拠ですから。 あと、パーティの仕組みなんて私は全くこれっぽっちも知らないので、かなり内容は適当です。 ご了承くださいませ。 |