アスラン、カガリはきっと鈍いよ
え?
アスラン、カガリさんは変化球では通用しませんよ?
え?
アスラン君、カガリ様と契りを交わすならこのキサカを通じて…
えっ!?


って、みんな何を言ってるんだよっっ
俺とカガリはっっ
俺と………カガリは…………


「健全なままなんて、アスランはそれでいいの?」


いとも簡単に俺の硬い意志は、友人の言葉で崩れていった




INSTINCT−決行プログラム−
〜僕達健全男児〜





「誕生日からして僕の方が5ヶ月お兄さんだからね♪」


友人キラの微笑みが悪魔に見えたのはその時だ
"いろいろ教えてあげるよ"と言ったキラに何か嫌なものを感じてはいた
今思えば、その時に俺がはっきり断らなかったのがいけなかったんだと……思う


「アスランのために、僕がプログラム作成してあげるよ」
「はっ!?お前何言って…」
「アスランだって僕のプログラミングの早さは認めたじゃない」
「いやっ、だからあれはコンピュータに関してであって、それとこれとは」
「同じだよ」


そういって、あはははは〜と笑うキラを放置したのが間違いだった


翌日
俺の机の上に置かれたA4の用紙
何気なく手に取ったのが運の尽き
というか、俺の机の上に置いてあったら普通手に取るんだよっっ
当たり前だろっっ

それが………どんな内容かも知らなかったんだから




『カガリをモノにするための10ヶ条』


「…………。」


な、な、な、なんだよコレはっっっ!!!!!???????

明らかに犯人はあいつしかいない
あいつ、キラだ、キラ・ヤマト!!!!!!!!!!
あいつ以外に誰がやる!?

と、思いつつ読んでる自分も情けないが……


『第1条 カガリを不安にさせる』

は?意味が解らない
不安にさせてどうするんだよ


『第2条 カガリに励まさせるチャンスを与える』

ごめん、キラ、意味わかんない
励まされるのは、誰だよ
俺か!?
俺なのか!?


『第3条 まっすぐ見つめられたらチャンス!ここぞとばかりに押し倒す!』

いや、そんなことできるわけないだろう?
っていうか、本当にコレ、キラが書いたんだろうか


『第4条 カガリの言葉に甘えてみる』

な、なにかこいつの中で俺は勝手に踊らされているような気がするんだが……
気のせいか?
いや、気のせいではないと思うが……


『第5条 キスは濃厚に(やり方はもちろん、いくらなんでも知ってるよね?)』

っっバッッカかお前はっっ
なんだよ、このふざけたプログラムはっっ!?
だから、俺とカガリはそういう……そういう関係では……


『第5条 万が一拒絶された場合、ひたすら謝る。』

おいおいおい、なんで失敗したときのことまで考えてあるんだよ
不吉極まりないだろ、これ
ってか、拒絶されるような内容が4条までにあるってことだろう
そうだろうっ!?


『第6条 謝りつつ、自分も辛いのだと体全体で訴えかける(これ重要だよ)』

な〜にが"重要だよ"だ!!!!!!!
ってゆーか、なんだよ、この真実みこもった内容はっっ
実践済みなのかっ!?
そうなのかっっ
そうなんだなっ!?
………な、なんて小悪魔なんだキラ……


『第7条  カガリの、感極まって抱きつく習性を利用する』

いつそんな習性があるなんて知ったんだよ
習性ってなんだ!?習性って!!
カガリは野生動物とかじゃないんだぞっ
もうちょっと言葉に気を付けろよっバカっっ


『第8条 辛抱強く、カガリからのOKサインを待つ(これで成功したも同然だよ)』

最初から言えよ!!それを!早く!!
何も失敗したことを想定したプログラムなんて書く必要ないじゃないか
何考えてんだよっキラはっっ
成功したも同然って、なら最初の前置きはなんだ!?
やっぱり俺で遊んでるんだろう!?
そうなんだなっ!?


『第9条 流されやすいタイプなカガリを利用する』

………………、俺、キラを見る目が変わるかもしれない
一体どんな目でカガリを見てるんだっお前はぁぁっっ
双子だから通じ合ってるんだろうっ!?
双子が何か不思議なもので繋がってるのは知ってるさっ
だけどお前は……っっお前はちょっとズレてるだろうっ違うか!?


『第10条 あとはひたすら愛を注ぐこと』

最後だけまともなこと書いたって遅いんだよっっ
何だよ
普通に書けるなら最初からそう書けよな


『以上が僕のお薦め10箇条だよ。奥手のアスランには絶対役に立つと思うから、しっかり復習しておくようにね。絶対だよ。』

言ってくれるなキラ……
奥手…?俺が……?
俺はカガリを大切にしてるだけだ
彼女を傷つけたくないんだよ

いつもホヤホヤ〜っとしてるくせに
なんでキラはこうも好きなこと・・・・・になると別人みたいになるかなぁ


『最後に、大事な親友アスランの為に、僕の大切な思い出の言葉を伝授するよ。よく覚えておいてね』


P.S.と書かれて下の方に書いてあった文
俺は、それまでのキラの文章に肩を落としながらも最後まで読み進めていった


『最後のキメ台詞は、"俺の思いが君を守るから"にするといいよ。ちなみに僕は実践され済みだから』


っっ!?
な、なんだよ、最後の一言!!
実践され済み!?「され」済み!?

ということは、だ……
キラが誰かのこの言葉でキメ台詞とされた、ということだよな?
それを勧めるということは、キラは虜になったということか!?

ま、まさかっっっ


ラクスか!?
ラクスなのかっっ!?


くっそぉ、俺はそんな言葉かけられたことないのに!!

まぁ、いいさ
俺はキラとは違う
こんなプログラムはあてにしない

もっと安全な道がいくらでもあるだろう?
そうさ、俺はキラとは違うから
もっと優秀にこなしてみせる




その時俺は気づいていなかった
俺の中の心の変化がすでに起こっていることに
どんなにカガリの存在が俺の中に浸透しているか
どれほどカガリのしぐさ一つ一つが俺を砕いていくか



キラのプログラムには『第0条』があったのかもしれないと気づくのはまだ先のこと……










fin.



〔戯言〕
や〜、もうなんというか、いきなりはじけちゃいました。
えっと、このアスランの口調を読んであれ?っと思った方!
ガンダムSEEDのドラマCD(?)を聞いたら声がバンバン響いてくると思います。
かなりそれを意識して口調を考えてみました。笑。
相方はかなり大爆笑してくれましね〜☆
そして、書いた自分も満足げ………。笑。
これはアスカガのINSTINCT用に書いたものです。
あの話がこれが基にあってこその作品なんですよ。
でも、カガリバージョンを読んでから、これを読んだ方が面白みが増すかなぁと……。
で、このあとにアスランバージョンを読むと更なる面白みがっっ
と、一番アスランで遊んでいるのは私でしょうね、きっと。
ちょっと子悪魔っぽいキラに胸キュンな日華でした☆