守りたかったもの
守れなかったもの

それでも守れたもの
心に浮かぶ、残ったもの





星のはざま 夜の向こうで






どうして生きている、なんて
愚問でしかないのかもしれない

あんなに泣いて、あんなにも苦しい思いをした日々
そんなことを思い出すようになった今日

キラ・ヤマトはそっと息をはいた

自分にできること
それだけを考えて生きていた頃

肩に少し、重みがかかる

キラは顔をあげて、そこにいる人物に安心したように微笑んだ
ピンク色をした柔らかい髪が鮮やかに瞳に映る


「ラクス」


その、名前をゆっくりと呼んだ

返事を返すように透明感のある、澄んだ瞳で見つめられ、キラは目を伏せる
何となく、心に残る、深く沈んだものがある


「…寒くない?」


静かな空気の中、落ち着いたキラの声
ラクスは口元に笑みを浮かべたまま、頷いた

どこかほっとした、そんな
そんな空気を吸い込んだ

落ち着いたキラの声は、ゆっくりと響く


「星が……」


見上げた空には、流れ星が溢れている
その光を宿したまま、キラは目をつぶった

空を見上げるのは、嫌いではないけれど
その向こうにあるのは「宇宙」という空間

そこにある記憶は、深く、重く…切ないものが多すぎて…


「流れ星ですわね」


隣にいたラクスが小さくつぶやいた
瞳を細め、小首をかしげる

キラは嘆息した
綺麗、だとも思うけれど………


「空は好きですか?」


唐突に話が飛ぶ
瞬きをして振り返ったキラを、ラクスは微笑みで返す

彼女はキラの答えを待つかのように、瞬きした


「…………うん」


躊躇した後、キラは頷いた

何となく、胸の中が熱くなった
誤魔化すように顔を上げ、空を見上げる

手に、柔らかいものが触れる
その、触れる冷たさにハッとしつつも動けない

そこには、たしかにあったのだ
そのとき、そこには間違いなく存在した

翻弄されつつ、胸に渦巻く思いに叫びつつも、たしかに
真綿にくるめても、くるみきれないほどのものが
触れただけで、零れ落ちてくるほどのものが


この手はどうして小さく、脆く、そして酷いのか…
この思いはどうしてこんなにも、膨れて縮むことはないのだろうか

「平和」に向けて動き出したと信じたい
けれど失ったものは、何一つ帰ってこない

そして、得たものがないわけでもないから………余計に


「ラクス」
「はい?」


目を軽く瞬かせて、握る手に力を込めてキラを見る瞳
キラはそのまま、言葉を切った

ラクスの瞳は、どこか安心させてくれる
黙ってしまったキラを、ラクスは不思議そうに見ていた


「えっ、あ…」


言葉が上手く出てこない
そんなキラに、ラクスがゆっくりと微笑んだ


「中に入りますか?」


言おうとしていたことを言われ、キラは軽く目を見張った
けれど、すぐにその顔に笑みを浮かべる

どちらからでもなく、二人
足を動かして、前へと歩き出す

何となく、見上げた空は
相変わらず凄い数の流れ星を散りばめて



淡い光を宿していた







fin.



〔戯言〕
おっはっはっはっは……………は???あっれー????
おかしいな、おかしいな(またか)こんなつもり、で、は…なかったのだが。
とにかくSEED初小説、ですっ。初めて…なのに、意味が……ゴホゴホッ。
キラともう一人誰か出したいなぁ、と思って相方に相談したら即効で「ラクス」と言われました。

いや、その……また、またですが、飽きずに言い訳しますっ。またですがっ!(しつこい)
これはRUN様にささげます。私を呪ってくれたラブなお方。一方的に愛を送ります。
一方的なので、ひたすら私は満足です。ありがとぉぉぉぉぉm(_ _)m
でも、難しいなぁ、SEED書きは。テニスに比べ、ずっと難しいです(ヒドイ……)
ネタは一応自前…っす。ホント、なーんも伝わらないモノですが…。
SEEDのDVDを見て「どこぞのシーン、使えんかな」と思ってい、た、ら。
ここしかなかったんですけどっ!何か、どこもかしこも結構大変そーで…。
そして、メチャ短い……。我がサイトでは脅威の短さです。いや、でも満足だ〜(自己満)